映画「アフロ田中」

映画「アフロ田中」

アフロ田中をご存知ですか?大きなアフロに妄想をいっぱいに詰め込んだちょっとダメな男がアフロ田中こと、田中広です。田中広は、のりつけ雅春の人気シリーズ漫画「アフロ田中」の主人公として生まれました。2002年から「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて連載が始まって以来、主人公の成長や変化に合わせてシリーズが進んできました。シリーズを通してのストーリーなどはなく、田中という一人の男の日常を面白可笑しく描いています。そして、このたびその「アフロ田中」が実写映画化されました。映画は田中が成人し、職と彼女を求めて東京へとやってくる「上京アフロ田中」を原作にしています。強烈な見かけとは裏腹に小心者で駄目男な主人公を、「ライヤーゲーム」などで知られる松田翔太が演じ話題となりました。また、原作には登場しないヒロインをモデル・タレントとして活躍する佐々木希が、田中の旧友役にはインパルスの堤下敦が抜擢され、とても楽しい映画となっています。

映画「アフロ田中」について

のりつけ雅春の「上京アフロ田中」を原作に、2012年2月18日、映画「アフロ田中」が公開になりました。監督は商業映画デビューとなる松居大悟、脚本は西田征史が担当しました。キャッチコピーは「アフロの中は、妄想だらけ」でした。公開に先立って「ビックコミックスピリッツ」2008年3月号にて作者自身によって実写化が告知されました。2012年2月20日発売の「ビッグコミックスピリッツ」の表紙では漫画のアフロ田中と実写のアフロ田中のコラボ競演も行われました。全国72スクリーンという小規模での公開となりましたが、2012年2月18日、19日の初日2日間で興行収入3330万3300円、観客動員数は2万4324人となり、映画観客動員ランキングで初登場10位を記録する好スタートを切りました。また、映画の公開前には、スピンオフミニドラマ「放課後アフロ田中」全10話が配信され、こちらも話題となりました。主演は松田翔太、ヒロインは佐々木希が演じています。

ストーリー(ネタバレ)

強烈な天然パーマを伴ってこの世に生を受けた田中広は、小さいころからその天パのせいでイジメられる日々を送っていました。高校生にもなるとその天パはより強烈になり、それが関係しているのかいないのか、田中は考え無しに高校を中退してしまいます。自由の身となった田中は更なる自由を求めて埼玉から東京へと単身乗り込みます。肉体労働で日々汗を流しながら、安アパートで何とか生活する田中。気付けば彼女も出来ないまま、田中は24歳になっていました。そんなある日、学生時代の地元の友人・井上から、結婚式の招待状が届きます。田中は、高校時代の仲間5人でした約束を思い出していました。その約束とは、「仲間のだれかが結婚したら、結婚式にその時の彼女を連れて行く」というものでした。真っ青になって焦る田中の前に、隣に引っ越してきたという加藤亜矢が挨拶に来ます。亜矢の天使のような可愛らしさに一瞬で心奪われた田中でしたが、これまた一瞬で「あんなのものにできるはずがない」と諦めてしまうのでした。仕方なく田中は、彼女がいないことを正直に仲間に告白しようと帰省します。しかし、半年ぶりに再会した仲間たちはそれぞれ生活に疲れながらも、身の丈にあった彼女をちゃっかりと作っており、結局田中は彼女がいないことを告白できないまま、東京に帰ってきたのでした。その後、田中は精力的に合コンに参加する日々を送ります。しかし、強烈なアフロで、どこか考え方がズレている田中を相手にしてくれる女の子は中々見つかりませんでした。やっとのことで連絡先を交換したユミとは、ひょんなことからホテルまでご一緒することになりますが、肝心なところで尻込みしてしまい、行為に及ぶことはできませんでした。自分のダメっぷりにもはや悟りを開きそうになる田中でしたが、そんな時、隣の部屋から悲鳴が聞こえてきます。慌てて隣の様子を見に行く田中に、亜矢が「ゴキブリが出た」と可愛く助けを求めてきます。田中がゴキブリを退治したことで、なんと二人の仲は急接近します。隣に美女が住んでいることで湧き上がる煩悩を、必死に捨てようと戦う田中でしたが、亜矢の魅力の前ではあふれ出る性欲を抑えられません。そして、季節はクリスマスに。友達との約束がキャンセルになったと言い訳をしつつ「もしよろしければ、お食事でも」と頬を赤らめて田中を誘う亜矢。田中はもはや有頂天に達していました。恋人同士のようにクリスマスのデートを楽しむ二人。田中は意を決して亜矢に告白します。絶対にOKしてくれると高を括っていた田中に、亜矢から帰ってきた答えは、「元彼に戻ろうって言われた時、少しでも嬉しいと思った自分が許せない。だから田中君とは付き合えない」という意外なものでした。田中はその場に崩れ落ち、大粒の涙を流すのでした・・・。

キャスト

  • 田中広・・・松田翔太
  • 加藤亜矢(映画オリジナルキャラクター)・・・佐々木希
  • 大沢みきお・・・堤下敦
  • 岡本一・・・田中圭
  • 村田大介・・・遠藤要
  • 井上真也・・・駒木根隆介
  • ユミ・・・原幹恵
  • 吉岡幸子・・・美波
  • 鈴木シンジ・・・吹越満
  • 西田シンジ・・・皆川猿時
  • 二階堂麗子・・・山田真歩
  • 吉田さなえ・・・井村空美
  • 田端かおる・・・伊藤修子
  • 居酒屋合コンの女性・・・あやまんJAPAN
  • 教師・・・長塚圭史
  • サッカー選手・・・武田修宏
  • 結婚式の司会者・・・佐藤二朗
  • 田中の母・・・辺見えみり
  • 旭工務店社長(映画オリジナルキャラクター)・・・リリー・フランキー

スタッフ

  • 監督・・・松居大悟
  • プロデューサー・・・加茂義隆、若林雄介
  • ゼネラルプロデューサー・・・永田芳弘
  • ラインプロデューサー・・・大熊敏之
  • 共同プロデューサー・・・鈴木俊輔、大村信、大畑利久
  • 企画・プロデュース・・・宇田川寧
  • 原作・・・のりつけ雅春「上京アフロ田中」
  • 脚本・・・西田征史
  • 撮影・・・小林元
  • 美術・・・尾関龍生
  • 衣装・・・西留由起子
  • 編集・・・相良直一郎
  • キャスティング・・・田端利江
  • 音楽プロデューサー・・・笹井章
  • 主題歌・・・鶴「夜を越えて」
  • 音響効果・・・松浦大樹
  • VFXスーパーバイザー・・・大萩真司
  • スクリプター・・・村松愛香
  • ヘアメイク・・・酒井夢月
  • 照明・・・堀直之
  • 録音・・・久連石由文
  • 助監督・・・土屋哲彦
  • ポストプロダクションプロデューサー・・・篠田学
  • 配給・・・ショウゲート

監督・松居大悟について

映画「アフロ田中」の監督を務めた松居大悟は、脚本家・演出家として活躍している人物です。劇団ゴジゲンの主宰でもあります。1985年11月2日、福岡県北九州市若松区に生まれました。母親は、九州のコラムニストであるトコです。福岡市で育ち慶應義塾大学経済学部に進学します。大学入学と同時に演劇サークル創像工房in fornt of.に入団、2006年に団体内で劇団ゴジゲンを結成し、2008年4月に独立します。これまでの全公演の作・演出・出演を手掛けました。劇団ゴジゲンを結成した理由の一つに、漫画家にもお笑い芸人にもなれずに夢を諦めて行った果てが演劇だったと後に語っています。2009年夏のNHK「ふたつのスピカ」で、NHKの連続ドラマ脚本では最年少記録として、脚本家デビューを果たしました。2012年2月には映画監督デビュー作となる「アフロ田中」が公開となり注目を集めました。ちなみに監督自身も、本作の主人公と同じく天然パーマです。この作品以降も、ドラマの脚本や映画の監督、MVの監督など幅広い分野で活躍しています。

主な作品

舞台

  • 2006年「かけぬけない球児」
  • 2007年「ロックンロール逃げる」・・・シアターグリーン学生芸術祭 最優秀賞
  • 2008年「エイトビートニート」
  • 2008年「神社の奥のモンチャン」
  • 2009年「たぶん犯人は父」
  • 2009年「チェリーボーイ・ゴッドガール」
  • 2009年「ハッピーエンドクラッシャー」
  • 2010年「アメリカン家族」
  • 2010年「美しきラビットパンチ」
  • 2010年「0号室の客~帰ってきた男~」
  • 2011年「トラストいかねぇ」
  • 2011年「極めてやわらかい道」
  • 2012年「リリオム」

長編映画

  • 2012年「アフロ田中」
  • 2013年「男子高校生の日常」
  • 2013年「自分の事ばかりで情けなくなるよ」
  • 2014年「スイートプールサイド」

感想

よく世間では女性の方が心の成長が早く、男性は中々大人になれないという話を聞きます。女子の間では「ほんと、男子って子供だよね」というセリフが必ずと言っていいほど出てきます。この映画はそんな大人になれない男子の愛と友情の青春物語です。主人公の田中は、大きなアフロの中に夢と希望と妄想をいっぱいに詰め込んでいる童貞男で、彼の心の中の声には男性ならば一度は経験したことのあるもどかしさや虚しさや馬鹿馬鹿しさが詰まっています。その夢と希望も、自分の将来に対することではなくて、とりあえず女の子と付き合いたいとか誰とでもいいからセックスしたいとかそういうくだらない夢ばかりで、女性からみると呆れ果ててしまうような内容なのですが、本人は至って真剣なのが笑いを誘います。天パといじめられないようにアフロにしたその強烈なビジュアルは、一度見たら忘れられません。でも田中はわりと良い奴で、演じている松田翔太がイケメンなせいか、モテないことないだろうと思ってしまうのですが、童貞だからという焦りと負い目から先走ってしまい、中々女性と付き合えないのが可哀想です。まずそのアフロ頭を止めたらいいのにとも思いますが、そこをツッコんだら「アフロ田中」ではなくなってしまいますから駄目なのでしょう。田中を演じた松田翔太さんは原作のファンらしく、いつものクールな印象からは考えられないくらいはっちゃけた役を嬉々として演じていて、見ているこちらも楽しくなりました。安アパートの隣にパーフェクト美女が引っ越してくるなんてありえない展開ですが、そこはコメディなので目を瞑りましょう。亜矢を演じた佐々木希は非常に可愛らしかったです。こんなにかわいい子が薄い壁一枚隔てた隣に住んでいるとなると、田中でなくとも浮かれてしまうこと間違い無しです。最終的には理不尽な理由で振られてしまいますが、その理不尽さにも女ってこういうとこあるなーと妙に納得させられました。また、田中の友人たちとの友情の描き方がとてもよかったです。高校生特有の男子ノリが楽しく、再会すればすぐにでも少年時代に戻れる仲間、一生付き合っていける仲間って素敵だなと思いました。私も高校時代の友だちとは未だに連絡を取り合っていて、会えばあの頃の想い出話が尽きないので、そういう友情を大切にしていこうと思わされました。結婚式のシーンではホロリとさせられることもあり、男の子っていいなとちょっとだけ羨ましく思いました。アフロ田中はビジュアルは強烈ですが、中身はごく普通の24歳童貞で、男性ならかなり共感できる映画だと思います。誰もが一度は通ってきた青春時代を追体験できる、楽しくてどこか懐かしい映画でした。

上京したてのあなたへ